運営 司法書士法人One Succession
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競業避止義務とは、譲渡会社が譲渡した事業と同一の事業をしてはいけないことをいいます。
事業譲渡は、譲渡会社がしていた事業をそのまま譲受会社に引き継ぐため、従来の取引先、仕入先なども引き続き利用させることに意義があります。
譲渡会社が同種の事業をすることは、事業譲渡した意義がなくなってしまうため、譲渡会社には、一定の範囲の競業避止義務を課しています。
上記のとおり、譲渡会社に競業避止義務を課しているとはいえ、譲渡会社にも営業活動の自由があり、競業避止義務は、それに対する対する大きな制約となるため、一定の調整は必要です。法律上は、
① 譲渡会社は、当事者が別段の意思表示がない限り、同市町村及び隣接する市町村内において、20年間同一の事業をしてはいけません。
② 譲渡会社が同一の事業をしない旨の特約をしていたときは、その特約は事業譲渡した日から30年を超えない範囲でその効力を有します。
③ 上記にかかわらず、不正の競争の目的をもって同一の事業をすることはできません。
と定められています。
ただし、①は任意規定とされていますので、義務の内容を縮小、拡大さらに完全に排除することも可能とされています。
譲渡会社が競業避止義務に違反した場合、譲受会社は、損害賠償請求や競業行為の差し止め請求が可能です。また不正競争の目的をもって競業行為に及んだ場合は、不法行為に基づく損害賠償請求も可能とされています。
競業避止義務に反した譲渡会社の役員(取締役)に対しては、会社法429条1項の責任追及が可能です。
事業譲渡をする際、譲受会社の責任として、譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負います。
事業譲渡後に譲渡会社の商号を使って、営業する以上それを信頼した債権者を保護するのが目的です。
事業譲渡後、遅滞なく譲受会社がその本店の所在地において、譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨の登記をしたときや譲受会社及び譲渡会社から第三者に対してその旨を通知したときは、責任を負いません。